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建築コラム2024.06.25

家を建てるなら押さえたい!建蔽率(けんぺいりつ)とは

建蔽率とは

建蔽率(けんぺいりつ)。この言葉は不動産の土地売買情報に必ず記載されてる、建物を建築するにあたり、絶対に守らなければならない割合です。設計士はお客様のご希望を叶えるのと同時に、建築法規に沿った建物を設計しなければならないため必ず確認する項目ですが、これからおうちを建てる方も、建蔽率や容積率の意味が分かると、その土地に建つ建物のイメージがつかみやすくなります。今回は建蔽率(けんぺいりつ)を簡単に説明させていただきますね。

建蔽率(けんぺいりつ)とは

建蔽率とは、建築基準法で定められているもので、建築物の建築面積(建坪)の敷地面積に対する割合です。この建築面積の算出が少しやっかいなのですが、簡略化すると「その土地に、どれくらいの広さの一階を建てることができるか」の割合を示したものになります。

建蔽率

単純化した例を挙げると、広さ100坪、建蔽率が60%の土地の場合、その土地に建築できる1Fの建築面積は60坪までです。

では、もうすこし具体的な例を挙げます。土地の広さを名古屋市緑区でよく販売されている40坪として、建蔽率も緑区でよくみられる40%であるなら、建築できる一階面積は、40坪×40%=16坪までとなります。40坪もの広さがあるのに60%も建てることができないのはなんだか残念かもしれません。行政が建蔽率の制限を設けるのは、敷地に適当な空地をとり、日照、通風、採光が得やすくし、防災上の安全を確保するためです。建築できないスペースはお庭や駐車スペースに活用しましょう。このように、建蔽率が分かると、1階の最大坪数が簡単に算出できるようになります。参考間取り図がたくさん載った資料を見るときは、土地に建てられる一階の坪数と同じ間取りを見ることで、より具体的に想像できるようになりますよ。

ただ、これらの例は建築面積の算出を単純にした場合の話ですので注意が必要です。2階が1階より突出している場合は建築面積に含めなければいけませんし、ひさしや軒が深い家の場合もこの建築面積に含めなければいけません。それというのも建築面積とは、建物を真上から見たときの面積だからです。(専門用語では「水平投影面積」といいます。)

建築面積の計算方法の例
建築面積の計算方法の具体例です。右のおうちの場合、大きく張り出したひさし(図ではem)から1m引いた値(e-1m)と、二階が一階より出ている面積が建築面積に算入されています (図は渋谷区HPから引用)

通常の住宅では一階が上階より大きいことが多いので、よほど変わった形を希望しない限りは、建築面積はほぼ一階の面積に近くなります。でも、建蔽率が厳しい土地の場合は、ほんの少しの建築面積増加で要件を満たさないことがあるので注意が必要ですよ!

建蔽率の調べ方

建蔽率は都市計画上定められたものです。都市計画は、各自治体がインターネットに公開している場合がほとんどです。名古屋市の場合、「名古屋市都市情報提供サービス」で調べることが可能です。サイトにアクセスし、都市計画情報等のマップをクリックして、住所を入力後、調べたい土地の場所をクリックするだけでその土地に指定された都市計画の詳細や制限を知ることができます。

名古屋市都市計画情報提供サービス

住居専用地域に指定されているエリアでの建蔽率を以下の表に挙げます。角地など、条件によっては建蔽率が緩和される場合もありますので、詳しくは設計士に確認するといいでしょう。

地域区分 一般の敷地の建ぺい率(%)
第1種低層住居専用地域

30、40、50、60のうち
都市計画で定める数値 

第2種低層住居専用地域
第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域

 

建蔽率が厳しい場合

土地の広さがコンパクトである場合、希望の間取りをとるのにこの建蔽率が障害になる場合があります。例えば、30坪で建蔽率50%の場合、建築面積は最大15坪になりますが、建蔽率が少し厳しくなり40%になってしまうと、建築面積は12坪まで小さくなります。ここまでコンパクトになると、一階に希望する間取りが取れないケースがでてきます。間取りのバリエーションを多くとることが難しい土地は不動産屋さんにも分かるため、土地の販売価格が低く抑えられる傾向があります。もし、土地がコンパクトでも希望の要件が叶うなら、逆にお買い得かもしれませんね。

建蔽率のまとめ

建蔽率を覚えると、建物の一階面積がどれくらいの広さがとれるか計算ができます。土地情報をみて土地の広さと建蔽率で最大建築面積をパパッと計算できると、建てたいおうちのイメージにあった土地かどうか分かりやすくなります。ただ、建蔽率以外にも建築に関する規制はたくさんあるため、土地を購入する際には、必ず土地購入前に設計士にプランニングしてもらいましょう。

オームラ設計一級建築士事務所では、今回の例にあげた「土地がコンパクトかつ建蔽率が厳しい土地」といった狭小地での建築例もあります。狭小地が気になる方はぜひお問い合わせください。