変形地に建てた実例
斜面に擁壁の役割を兼ねる地下室を作り、敷地の高い部分の土を止め、道路側に必要な平地を確保しました。
土留めというとL字擁壁を使うことが定番ですが、少しコストアップするものの、地下室という居室を作り上げて暮らす空間にしました。この地下室は防音性が高く真夏はひんやりするため、迫力一杯のホームシアターや夏の寝室にしたりとご家族に活用いただいています。設計者として、地下室を長く快適に使っていただけるよう、漏水対策はもちろん、湿気がこもらないように換気計画に注意しました。
また、道路面と建物の一階をほぼ同じ高さにすることができたため、生活排水や雨水を道路まで機械を使ってポンプアップすることもなく下水道に排水することが可能になりました。
そして、一階のバルコニーは予想通りの眺望で、建物に遮られることなく緑地の木々が遠くまで見渡せます。ご家族はこの開放的なバルコニーで、お子さんとプールで遊んだり、バーベキューをしたり楽しんでいます。
半地下の窓のおかげで明るい地下室に。
地下室壁面一杯の大画面で親子でゲームに夢中!
バルコニーからの緑あふれる眺望。
1Fが前面の建物より高く、よい眺望が取れました。(下側の敷地より撮影)
斜面地で住宅を建てるためにはなんらかの土留め工事が必要ですが、大掛かりになると費用も高額でトータル金額が一般的な平地に建つ住宅よりかなり高くなってしまいます。
今回は建物を工夫することでコストを抑え、近隣の平坦な土地を購入して家を建てた場合よりお値打ちにできたと思います。お客様ご希望の予算に収まるよう努力するのも、設計士の大事な仕事の一つ。
また、土地を扱う不動産屋業者にも、このような傾斜地だから発生する工事と費用を具体的に伝え、その工事価格分、土地の価格を抑えて販売してもらうよう協力をお願いしました。斜面地での具体的な工事金額の提示は、変形地が得意な会社だからできることです。
住宅を建てないエリアをほぼそのままの形で残しました。