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変形地に建てた実例

ホーム変形地に強い設計事務所この眺望を暮らしに取り入れたい

この眺望を暮らしに取り入れたい

周囲の建物より高い位置にあるため、開放的な景色が味わえます。

周囲の建物より高い位置にあるため、開放的な景色が味わえます。

ポイント

道路面より低い土地の諸問題をどう解決する?

建築地は敷地面積が約60坪、駅徒歩9分の立地にあるものの、敷地のほとんどが急な傾斜で覆われていました。道路面と敷地一番奥の高低差は約9メートル。3階建ての建物ほどの差があります。
ただ、この急傾斜のおかげで、奥の建物が視界を妨げず、遠くをよく見渡せるのがメリットです。この見晴らしのよさ、眺望をうまく取り込めば、開放的な住宅ができると思いました。

ただ、この土地に住宅を建てる上での課題は3つあります。

  • 1.住宅を建てるためのスペースや駐車スペースを確保すること。
  • 2.造成工事費用を抑えること。広く平坦な敷地を作るとなると、擁壁工事等、かなり工事が大掛かりになり、費用も高額になってしまいます。
  • 3.排水の接続。道路面から低い土地に家を建てる場合、水は低い方に流れます。道路内に埋設されている下水管まで生活排水をどう継ぐのか。

解決策

地下室で土留めし、 必要なスペースを確保!

解決策 その1

地下室で平坦地を作り生活の楽しみをもたらす

斜面に擁壁の役割を兼ねる地下室を作り、敷地の高い部分の土を止め、道路側に必要な平地を確保しました。
土留めというとL字擁壁を使うことが定番ですが、少しコストアップするものの、地下室という居室を作り上げて暮らす空間にしました。この地下室は防音性が高く真夏はひんやりするため、迫力一杯のホームシアターや夏の寝室にしたりとご家族に活用いただいています。設計者として、地下室を長く快適に使っていただけるよう、漏水対策はもちろん、湿気がこもらないように換気計画に注意しました。
また、道路面と建物の一階をほぼ同じ高さにすることができたため、生活排水や雨水を道路まで機械を使ってポンプアップすることもなく下水道に排水することが可能になりました。
そして、一階のバルコニーは予想通りの眺望で、建物に遮られることなく緑地の木々が遠くまで見渡せます。ご家族はこの開放的なバルコニーで、お子さんとプールで遊んだり、バーベキューをしたり楽しんでいます。

半地下の窓のおかげで明るい地下室に。

地下室壁面一杯の大画面で親子でゲームに夢中!

バルコニーからの緑あふれる眺望。

1Fが前面の建物より高く、よい眺望が取れました。(下側の敷地より撮影)

解決策 その2

土地取得から建物までの予算をコントロール

斜面地で住宅を建てるためにはなんらかの土留め工事が必要ですが、大掛かりになると費用も高額でトータル金額が一般的な平地に建つ住宅よりかなり高くなってしまいます。
今回は建物を工夫することでコストを抑え、近隣の平坦な土地を購入して家を建てた場合よりお値打ちにできたと思います。お客様ご希望の予算に収まるよう努力するのも、設計士の大事な仕事の一つ。
また、土地を扱う不動産屋業者にも、このような傾斜地だから発生する工事と費用を具体的に伝え、その工事価格分、土地の価格を抑えて販売してもらうよう協力をお願いしました。斜面地での具体的な工事金額の提示は、変形地が得意な会社だからできることです。

住宅を建てないエリアをほぼそのままの形で残しました。